- 直線が走る装甲面は優先度が高めです
- エッジの角度は変えずに厚みを保ちます
- サンディングは一定方向でムラを避けます
- 番手は粗から細へ段階を少なく進めます
- 当て板で平面を守り凹みの発生を防ぎます
- 光を斜めに当て微細なうねりを見ます
- 粉を払うたび目視と手触りで確かめます
ガンプラの面出しを見分けて整える基準|図解で理解
作業量をむやみに増やさず、映り込みを整える要所に手を掛ける発想が中心です。平面の精度は塗装前にこそ決まり、後工程では取り返しが効きにくい面があります。ここでは対象の見つけ方と、動きのリズムを具体化します。
面出しの定義と効果の整理
面出しは、パーツの意図された平面を保ち直線の伸びを取り戻す作業です。うねりや段差があると、塗膜が美しくても光が乱れます。結果として色が浅く見えたり、影が濁ったりします。面を均すと、影はすっと落ち、ハイライトは細く伸びます。
塗装の発色が安定し、スミ入れの輪郭も冴えます。力任せに磨くのではなく、素材の厚みを残す配慮が要点です。
優先箇所の見分けと順番の組み方
最初は外装の大きな平面から着手すると効率が上がります。ひざや胸のパネル、シールドなどは効果が分かりやすいです。小面積の装飾や凹みは後回しが目安です。
順番は「大面→境界→細部」。大面でテンポを掴み、境界で直線を整えます。最後に凹部や段差を微調整すると、全体の整合が崩れにくくなります。
R面とエッジの両立
曲率がある面は、エッジを丸めず曲面の滑らかさを残す配分が大切です。角を立てたいパネルと、丸みが設計意図のパーツでは狙いが異なります。曲面はストロークを短く刻み、角は当て板で角度を固定します。
エッジは片側だけで削らず、左右の面から均等に寄せると厚みが保てます。無理をしないのが安全策です。
番手の階段とストロークの長さ
番手は粗→中→仕上げの三段が基本です。粗で形を決め、中で傷を減らし、仕上げで映りを整えます。段数を増やすより、各段での目的を明確にします。ストロークは面の長辺方向に合わせると筋が揃います。
短い往復で熱を持たせず、粉が詰まる前に面を払うと均一になりやすいです。
確認の光と触診のコツ
光源は斜めに置き、反射の帯を細く流すと凹凸が見えます。指腹でなでる触診は立体の違和感を素早く拾えます。粉があると判断を誤りやすいので、都度払いながら確認します。
反射が途切れる所は要修正の目印です。少し休んでから再確認すると、見落としが減ります。
ステップ1: 大きな平面の方向を決めて当て板で支えます。
ステップ2: 粗番手で段差の山だけ均します。
ステップ3: 中番手で筋目を一方向に整えます。
ステップ4: 仕上げ番手で反射の帯をつなげます。
ステップ5: 光と触診で再確認し次工程に渡します。
□ 面の長辺に沿って動かす
□ 粉をこまめに払う
□ エッジの厚みを残す
□ 力を抜きストロークを軽く保つ
□ 方向を変え過研ぎを避ける
A: 目立つ平面を中心に行うのが現実的です。影響の小さい裏面は簡略化でも十分です。
Q: 粉が白く残ります。
A: 静電気と詰まりが要因です。軽く湿らせた布で拭き、エアで飛ばすと判断が安定します。
Q: どの段階でサフを使いますか。
A: 仕上げ前の確認用が目安です。段差の残り具合が見え、手戻りの判断がつきます。
工具を選ぶ基準とキット相性
道具の差は結果に直結しますが、増やし過ぎは迷いの原因にもなります。ここでは当て板やスティックなどの役割を整理し、形状ごとの相性を考えます。キットの造形に合わせた選択が、時短と精度の両立につながります。
サンディングツールの比較視点
紙やすりは柔軟で追従性が高く、当て板は直線性に優れます。スポンジは曲率のある装甲で威力を発揮します。金属ヤスリは切削力が高く、面の基準出しに向きます。
ただし攻め過ぎると厚みを失いがちです。素材の硬さと形状に合わせ、初手の強さを決めると無駄が減ります。
当て板とスティックの選定
当て板は硬度で役割が変わります。硬い板は直線保持、ややしなる板は微曲面の追従に強みがあります。幅は面の半分以下が扱いやすいです。
スティックは先端形状で届く範囲が変わります。エッジ近くは角を使い、広い面は面で支えると安定します。
形状別の相性と優先度
フラットな胸部やシールドは、当て板と粗中番手の組み合わせが効率的です。脚部の装甲は面の切り替えが多く、細幅のスティックが便利です。
曲面主体の肩はスポンジで滑らかさを保ちます。キットの造形に応じて、基準面から外側へ広げる順が失敗を減らします。
直線保持で反射が揃う
基準線が作りやすい
番手の移行が判断しやすい
過研ぎで角が薄くなる恐れ
曲面では筋が入りやすい
粉詰まりで滑りが落ちる
よくある失敗と回避策1
粗番手の引きずり傷が残り、塗装後に筋が出る例です。中番手を省くと起きやすいです。段階を一つでも挟み、方向を変えると痕跡が消えやすくなります。
よくある失敗と回避策2
エッジの片減りで角度が変わる例です。片面だけで攻め続けるのが原因です。左右から均等に寄せ、角でなく面を使う意識が有効です。
よくある失敗と回避策3
当て板が広過ぎて面のうねりを見落とす例です。基準面より細い幅を選ぶと、局所の波を拾いやすくなります。
- 当て板
- 紙やすりを貼って面を保つ道具。直線の基準づくりが得意です。
- 番手
- 紙やすりの目の細かさ。数字が大きいほど傷が浅くなります。
- スクラッチ
- 自作加工の総称。面の追加や形状の整形を含みます。
- ヒケ
- 成形収縮で生じる凹み。光を当てると影の滲みで見つかります。
- 段差消し
- 合わせ目やゲート跡を均して平面に揃える作業です。
下地処理とプラの健康を保つ
面出しは削るだけでは完結しません。汚れや静電気を抑え、素材の負担を減らす工夫が仕上がりを支えます。ここでは洗浄と粉管理、ヒケ対策を通して、安定した下地へ導く流れをまとめます。
洗浄と変形の予防
手脂や離型剤が残ると紙やすりが滑り、判断が鈍ります。ぬるま湯と中性洗剤で軽く洗い、自然乾燥が基本です。熱湯は変形の原因になるため避けます。
乾燥後に軽く払ってから触診すると、余計な抵抗が消えます。素材への負担を抑えると、後の塗装も安定します。
ゲート跡とヒケの均し
ゲート跡は段差が小さくても光に出ます。面全体で均す前に局所を整えると、面出しの負担が減ります。ヒケはサフで見つけ、必要なら薄く盛って再び均します。
局所修正→面の再確認の順で、直線と映りを両立させます。焦らずに段階を進めるのが安全です。
粉と静電気の管理
粉の付着は視認を妨げ、誤削の原因になります。帯電が強いと粉が戻りやすいです。帯電防止の布で拭き、空気を通すと落ち着きます。
仕上げ前に微湿の布で一拭きするだけでも、反射の帯が見やすくなります。必要に応じて手袋を使うと再付着も減ります。
濡れた状態での強い擦りは熱と摩擦で白化を誘発しやすいです。湿りは軽めに抑え、乾いた動きを主体にするのが無難です。
・粉の再付着低減で確認時間が約3割短縮の目安
・粗→仕上げを三段でつなぐと段返りの手戻りが約4割減の傾向
・帯電防止布の使用で微粉の残りが体感で半減
— 洗浄は中性で優しく
— 乾燥は自然放置で変形を避ける
— 局所修正後に面へ拡張
— 粉は都度払い視認性を確保
— サフ確認は薄く一往復が目安
段差と合わせ目を面に変える応用
合わせ目や段差を単に消すだけでなく、面の一部として取り込むと映りが整います。基準線を決め、そこから面を張る設計で、作業の迷いが減ります。ここでは基準線の立て方と、曲面での局所面出しを扱います。
スジを基準線へ変換する考え方
パネルラインは面の切り替え点です。線が曲がると隣接面の直線も崩れます。先に線の直進性を整え、そこから両側へ面を張ると整合が取りやすいです。
基準線を当て板の角で軽く通し、左右へ段階的に広げると、厚みを残しつつ直線が伸びます。
合わせ目消しから平面化へ
溶着や接着で合わせ目を処理した後は、段差が残っていないかを光で確認します。山だけを粗番手で落とし、中番手で面の筋を揃えます。
仕上げで反射の帯がつながれば完了です。必要に応じて再度サフを薄く当て、傷の残りを拾います。
曲面パーツでの局所面出し
球面や樽型のパーツは、均し過ぎると形が痩せます。スポンジで局所に当て、ストロークを短く保つのが安全です。
反射が回り込む位置を見極め、帯が途切れる箇所だけ手を入れると立体感が保てます。角度を変えて確認すると見落としが減ります。
「基準線を先に整えると、面の乱れが一気に収まりました。無駄な削りが減って、塗装の色乗りも良くなったと感じます。」
- 基準線を軽く通して直進を確認
- 段差の山だけ粗番手で均す
- 中番手で筋目を一方向に整える
- 仕上げ番手で反射をつなげる
- サフで点検し微修正で締める
曲面の局所修正中に当て板を使うと角が立ちやすいです。スポンジ主体で様子を見て、板は最後の線合わせに限定するのが無難です。
仕上げの均一感と光沢コントロール
面の映りは下地の粒度と光沢の整合で決まります。サフの粒子感を読んで、仕上げの艶と合致させると段差が見えにくくなります。ここでは粒度の目安と、エッジを立たせるさじ加減をまとめます。
サフで粗を読む
サフは傷の検査灯の役割です。薄く当てて、反射の帯が途切れる箇所を拾います。厚塗りは情報を隠すので控えめが目安です。
粒度が荒いとザラつきが強く見えます。仕上げの艶に合わせて、サフ後の番手を選ぶと整合が良くなります。
艶の段階とクリアの扱い
艶消し仕上げでは面の乱れが緩和されますが、光沢は誤魔化しが効きにくいです。光沢狙いのときは、仕上げの筋を極力細く揃えます。
クリアを重ねる場合は、段差の山を消してから塗ると透明層が均一にのります。無理のない乾燥時間を確保すると割れを避けられます。
エッジの立ち上げと再エッジング
面出しで丸くなった角は、側面から軽く寄せて立ち上げます。角だけ狙うと薄くなるため、両面から均等に寄せるのが安全です。
再エッジングは必要最小限で、基準線と映りの整合を優先します。角度のズレは光で目立つため、少しずつ確認しながら進めます。
| 状態 | 粒度目安 | 圧の感覚 | ストローク | 確認の目 |
|---|---|---|---|---|
| 段差の山 | #320–#600 | 軽く添える | 長辺方向 | 帯の乱れ |
| 筋の整え | #800–#1200 | 当て板で均一 | 一定幅 | 反射の繋がり |
| 仕上げ前 | #1500–#2000 | 触れる程度 | 短く刻む | 帯の均一 |
| サフ確認 | 薄吹き | 塗膜を置く | 一往復 | ピンホール |
| 光沢狙い | #2000+ | 押さえない | 薄く通す | 映り込み |
□ サフは薄く情報を残す
□ 仕上げ番手は艶に合わせる
□ 角は両側から寄せる
□ 乾燥は余裕を持つ
□ 反射の帯で最終確認
— 艶消し狙いは中番手の整合を重視
— 光沢狙いは仕上げの筋幅を最小化
— 反射の帯が一本で通る状態を合格とする
作業時間の短縮と再現性の高め方
同じ結果を安定して出すには、体の動きと判断の手順を固定化するのが近道です。スポーツのルーティンのように、入り方を一定にすると集中が続きます。ここではテンポと記録、メンテの視点から、再現性の枠を作ります。
テンポと休憩の入れ方
長時間の連続作業は精度を落とします。20分作業と5分休憩のリズムは集中を保ちやすいです。粉払いと確認を休憩の合図にすると、自然と視認が整います。
疲れを感じる前に区切ると、力みが抜け、面の均一性が上がります。音楽やタイマーを軽く使うのも一案です。
記録とテンプレの活用
番手の階段と当て板の幅をメモしておくと、次回の着手が速くなります。写真で反射の帯を残すと客観視に役立ちます。
キットごとに「大面→境界→細部」の順テンプレを作ると、迷いが減り時短につながります。小さな再現性が積み重ねの力です。
メンテと消耗品の交換
紙やすりの寿命は思ったより短いです。切れが落ちると圧が増え、面が荒れます。早めの交換が結果的に速く、きれいです。
当て板は角が丸くなったら更新の合図です。道具の状態を整えるだけで、ストロークの質が目に見えて変わります。
- 初手は粗番手で山だけ触る
- 中番手で筋目を整えて方向を固定
- 仕上げで映り込みを一本にする
- サフは薄く情報の検査灯に使う
- 粉払いと光の確認をセット化
- 20分作業と5分休憩で集中維持
- 番手と当て板の幅を記録する
- 切れ落ちた紙は早めに交換
・動作の固定化で手戻りが約2割減の体感
・紙やすりを早めに交換すると圧が一定になり、面の荒れが目に見えて減少
・写真記録で反射の帯の乱れを定量化しやすくなります
よくある失敗と回避策1
時間短縮を狙い段階を飛ばす例です。最終的に手戻りが増えます。段階を薄くでも通す方が合計時間は短くなりがちです。
よくある失敗と回避策2
粉払いを怠り判断を誤る例です。確認と払いをリズム化すると、誤削が減ります。
よくある失敗と回避策3
道具の劣化に気付かず圧で補う例です。面の荒れと角の薄さを招きます。消耗前の交換が安定への近道です。
キット選びに活かす面の見立て
面出しに向く造形かどうかは、事前の見立てでおおよそ判断できます。ここでは箱を開けた瞬間に見るポイントをまとめ、作業負担の予測に役立てます。選び方が決まると、制作計画が立てやすくなります。
平面の広さと割りの方向
大きく走る平面が多い構成は、面出しの効果が分かりやすいです。割りの方向が面の長辺に沿っていると、当て板が使いやすいです。
逆に曲面主体で切り替えが多い構成は、スポンジ主体での丁寧な運びが中心になります。箱絵とランナーで傾向を掴むと見立てが速いです。
材質と厚みの傾向
硬めの素材は直線保持がしやすい反面、過研ぎのダメージが出やすいです。やや柔らかい素材は追従性が高いかわりにエッジが丸くなりやすいです。
厚みが十分なら修正の余地があり、薄いパーツは安全マージンを広めに取るのが安心です。
装甲の段差と陰影設計
段差の高さが適切だと面出しで陰影が映えます。段差が浅すぎると平坦に見えやすいです。
陰影の意図を崩さない範囲で、山を均し谷を守る配分を意識すると、キットの設計を活かした映りになります。
厚みの薄いパーツは当て板の圧が効き過ぎます。スポンジと指の支えで微調整に寄せると、破断や白化のリスクが下がります。
— 平面が長い構成は当て板が活きる
— 曲面主体はスポンジで滑らかさを優先
— 段差の高さは山だけ均して谷を守る
・平面主体のキットでは初手の粗作業時間が約3割短縮の目安
・厚みがある装甲は再エッジングの余地が広く、失敗時のリカバーが容易
・段差設計が明瞭だと陰影の管理が一貫します
まとめ
面出しは、映り込みを整え直線を伸ばすための静かな準備です。対象を見極め、段階を薄くつなげ、光で確かめる流れが目安です。力任せにせず厚みを残すと、後の塗装が素直にのります。
道具は用途を絞り、キットの造形に合わせて選ぶと迷いが減ります。休憩と粉払いをリズム化すれば、時短と精度の両立に近づきます。今日の手触りと反射の帯を記録に残すと、次の一手が軽くなります。

