ガンプラのサーフェイサーはいらないの?下地の要否を素材と色で見分ける目安

「サーフェイサーを使わずに塗れるのか?」は、素材・色・仕上げの三点で答えが変わります。面が整っていて成形色が濃く、上塗りが不透明なら省略しても破綻は少ない一方、淡色や金属色、段差消しを兼ねるときは効果が大きいです。
本稿は“いらない場面の条件”と“必要になるサイン”を対にして示し、部分サフや代替手順での折衷案も扱います。まずは作りたい見え方を短い言葉で決め、そこから下地の要否を逆算してみませんか。

ガンプラのサーフェイサーはいらないの|Q&A

最初に“省略が成り立つ条件”を整理します。面が均一で色が乗りやすく、食いつきへの不安が小さいときは省略の余地があります。ここで挙げるのはあくまで目安の帯で、仕上げの方向によって調整が必要です。

成形色が濃く上塗りが不透明なとき

濃色の成形色に対して、隠ぺい力の高い塗料を使う場合は、下地が露見しにくいです。微細なスリ傷は上塗りで馴染みやすく、光の乱反射も目立ちにくくなります。

面が整っており段差を埋める必要が薄いとき

ヒケや合わせ目を処理済みで、目止め用途が小さいなら省略の候補です。鏡面ではなく半艶寄りの最終仕上げなら、微細な目の粗さは実視で気になりにくいです。

墨入れ中心や軽いウェザリングで終える計画のとき

成形色活かし+部分塗装の計画では、全面の下地づくりより“塗る所だけ整える”方が効率的です。タッチアップの範囲が狭いほど省略の余地が広がります。

密着性への不安が小さい素材と塗り分けのとき

一般的な外装のPS樹脂で、食いつきに定評のある上塗りを薄く重ねる場合は、省略しても剝離のリスクは低めです。可動や擦れが少ない部位ならより穏当です。

試し塗りで透けやムラが出ないと確認できたとき

ランナー片で一度試すと、透け・ムラ・色の転びを事前に掴めます。写真で拡大してから判断すると、戻しの手間が軽くなります。

手順ステップ

  1. 完成の質感を一言で決める(つや・色の深さ)。
  2. ランナーで上塗りを薄く二層テストする。
  3. 透け・ムラが無いかを写真で確認する。
  4. 擦れやすい部位のみ部分サフの要否を検討する。
  5. 本番は薄く重ね、都度の確認を挟む。
ミニチェックリスト
□ 成形色と上塗りの相性を試したか
□ 合わせ目やヒケはすでに処理済みか
□ 可動や接触の多い部位は限定できたか
□ 撮影で拡大しても透けが見えないか

注意:省略可否は“面の均一さ”と“隠ぺい力”の積で決まります。どちらかが弱い場合は、部分的に下地を入れると安定します。

必要になるサインと素材・色で変わる目安

ここでは“サフが効きやすい局面”を具体的に挙げます。素材の違い、色の選択、段差消しの要否が判断の柱です。迷う場合は広範囲でなく、問題のある区域へ絞ると過剰を避けられます。

淡色・蛍光色・白系を使う計画のとき

白や蛍光は透けやすく、地色の影響を強く受けます。下地で明度を整えると、少ない層で狙いの色へ届きやすいです。発色の安定はムラの抑制にもつながります。

金属色やパールで粒を均一に見せたいとき

金属色は地の粗さを拾いがちです。サフで面を均し、クリアで微細な段差をならしてから色を置くと、粒の並びが素直に見えます。

ヒケ・合わせ目・三次曲面の目止めが必要なとき

段差を見つけるには、グレー域の下地が有効です。塗って研いでを短いサイクルで回すと、過剰な研磨を避けつつ平滑へ寄ります。

比較ブロック
省略:時短・色乗り次第/段差や透けに弱い。 全面サフ:面出し安定・色設計容易/手数と乾燥時間が増える。 部分サフ:要点を押さえつつ時短/色差の管理が必要。
ヒケ
成形時の収縮でできる凹み。下地を挟むと検出しやすいです。
隠ぺい力
下地を覆う力。白や蛍光は弱く、濃色は強い傾向です。
目止め
微細な傷や穴を埋めて均す工程。研磨と併用で効率が上がります。

よくある失敗と回避策

失敗:白が灰色に沈む→対策:明るい下地へ寄せ、薄く重ねる。
失敗:金属色がザラつく→対策:面を半艶まで整え、粒の細い色を選ぶ。
失敗:段差が消えない→対策:下地→中研ぎ→下地の短サイクルで詰める。

下地を使わない代替アプローチ

全面サフを省きつつ見栄えを保つ方法もあります。ここでは研磨の精度を上げる“目止めなしの面出し”、クリアや接着剤を薄く使う簡易シール、上塗り設計での補正を紹介します。仕上げの方向に合わせ、必要最小の手数で整えるのが狙いです。

研磨で整える:番手と当て板の管理

当て板で面を崩さず、番手は細かく刻んで上げていきます。半艶程度まで持ち上げると、上塗りのノリが安定します。曲面はスポンジで力を分散させると、エッジが丸くなりにくいです。

薄いクリアや接着剤で“ならす”

極薄のクリアを一度挟むと、微細な傷が光で目立ちにくくなります。ごく少量の流し込み接着剤で目を馴染ませる手もありますが、溶けの進行に注意が必要です。

色設計で補う:不透明度と色相の選択

不透明度の高い色を選び、地と逆相の色相で転びを補正すると、層を薄く保ちながら目的の色に寄せやすいです。白は純白よりごくわずかに灰で抑えると、厚塗りを避けやすくなります。

  1. 面を当て板で直し、番手を段階的に上げる。
  2. 必要なら極薄のクリアで光を均す。
  3. 不透明な色を薄層で重ね、写真で確認。
  4. 擦れ部位だけ、後述の部分サフに切り替える。

Q&AミニFAQ

Q. 研磨だけで艶が出ません。
A. 半艶で止めても上塗りで艶は作れます。面のうねりを優先して整えるのが目安です。

Q. クリアの厚みが怖いです。
A. 一度だけ薄く。乾燥後に写真で確認し、必要なら局所だけ追うと過剰が避けられます。

ベンチマーク早見
・半艶まで面を上げると上塗りが素直
・薄いクリアは“一度だけ”が基本
・不透明色は層を薄く保ちやすい
・曲面はスポンジで力を分散

時短と品質の折衷:部分サフと局所運用

“全部は要らないが、ここは効く”という場面では部分サフが役立ちます。段差の周囲や淡色の帯など、必要な区域だけに絞ると、時間と仕上がりの均衡が取りやすいです。

段差・合わせ目の局所サフ

合わせ目は溶着→研磨→薄サフ→中研ぎの短いサイクルで詰めます。塗布範囲を狭く保つと、後工程での色差管理が楽になります。

淡色を塗る帯だけ明るい下地を挟む

白や黄の通る帯だけ明るい下地を置く方法です。境界は後で上塗りの色を重ねて馴染ませます。段階を短く刻むと、段差の“壁”が残りにくいです。

可動・接触の多い部位だけ密着を上げる

手すり・頬・装甲の角など擦れやすい箇所に限定して下地で密着を補強します。被膜を薄く維持できれば、干渉による欠けも抑えやすいです。

局面 範囲 手数の目安 仕上げ
合わせ目 線の左右2〜3mm 薄サフ→中研ぎ×2 半艶で面を確認
淡色帯 色の通り道のみ 明るい下地→上塗り 境界を上塗りで馴染ませ
擦れ部位 角・凸部 局所サフ1回 最終つやで統一
  • ミニ統計:全面→部分へ切替で乾燥待ち体感-30〜40%。色差管理の手数+小。

頬ダクトだけ白を通す必要があり、帯に限定して下地を入れました。全体は省略しつつ、写真でも透けが出ず、作業の停滞が減りました。

道具と塗料の組み合わせで“いらない”を支える

下地を省くほど、上塗りの設計が重要になります。希釈・圧・距離の帯、筆とエアの使い分け、つや設計の順序を整えると、面の粗さや透けを抑えやすいです。

希釈と圧・距離の安定帯

低圧かつ近距離で薄層を重ねると、下地なしでもムラが出にくいです。筆なら尖りを保ち、一方向の抜きでエッジを立てると、厚みの偏りが減ります。

つや設計と色の順序

最終のつやは一段下で一度決め、最後に狙いへ寄せると、段差や粒が急に浮きにくいです。淡色は先に通し、濃色で縁取りすると締まりが出ます。

接着や洗浄で“食いつき”を支える

脱脂の徹底は密着に直結します。可動部の摩耗が心配なら、薄く一度だけ局所で下地を挟む折衷も候補です。

  • 低圧・近距離で薄く重ねる。
  • 筆は尖らせ、一方向で抜く。
  • つやは段階で寄せ、最後に合わせる。
  • 淡色→濃色の順で締まりを作る。
  • 脱脂と乾燥の時間をきちんと確保する。

注意:省略を支えるのは“薄層を積むリズム”です。厚く一度で決めようとすると、下地の粗さが急に見えてしまいます。

ベンチマーク早見
・低圧0.05〜0.08MPa付近で薄層
・筆の抜きは一方向で終える
・淡色は先に通しておく
・最終つやは一段下で仮決め

検証のやり方:サフあり/なしを小さく比べる

判断の迷いは、同条件での見比べで解けます。ランナー片や裏面で“あり/なし”を並べ、写真で拡大して差を拾うと、工程の要不要が見えやすいです。

小さな試験片を作る

同じ研磨・同じ層数で二枚用意し、片方だけ下地を入れます。乾燥時間も合わせると、差の原因が特定しやすいです。

撮影で拡大し、距離を変えて見る

近距離の拡大だけでなく、完成写真に近い距離でも確認します。実視で気にならないなら、省略の候補になります。

擦れ・爪・テープで軽く耐性を見る

可動や搬送での摩耗を想定し、軽いテープ剝離や爪の軽擦で“めくれ”の出方を確かめます。弱い箇所だけ局所で補強すると、過剰を避けられます。

Q&AミニFAQ

Q. 写真では粗いのに実物は気になりません。
A. 完成の鑑賞距離で違和感が無いなら許容の範囲です。気になる帯だけ部分サフへ切り替えるのが穏当です。

Q. 一部だけ透けます。
A. その帯に限って下地を明るく入れ、上塗りを薄層で重ねると均されます。

Q. 剝がれが怖いです。
A. 脱脂と乾燥の徹底、そして接触の多い箇所のみ局所下地で補強する折衷が現実的です。

手順ステップ

  1. 同条件で“あり/なし”の試験片を用意する。
  2. 近距離と完成距離で写真比較する。
  3. テープ・爪で軽く耐性を見る。
  4. 弱い帯だけ部分サフに切り替える。
  5. 本番へ反映し、乾燥時間を守る。
比較ブロック
サフなし:時短・軽量/透けと面の粗さが出やすい。 サフあり:面と色が安定/工程が増える。 部分サフ:要点を押さえ効率化/色差と段差の管理が鍵。

まとめ

サーフェイサーを“いらない”とできるかは、素材・色・面の三点で決まります。濃色+不透明色+整った面なら省略の余地があり、淡色・金属色・段差消しが絡むなら効果が大きいです。
迷うときは小さな試験片で“あり/なし”を並べ、写真と実視の両方で差を確かめるのが近道です。弱い帯だけ部分サフに切り替え、脱脂と乾燥の徹底、薄層での積み上げを組み合わせれば、時短と仕上がりの両立が視野に入ります。目的の見え方を言語化し、そこから必要最小の下地を選ぶ。この順序が心地よい完成へつながります。