この記事では、部屋を「作る」「塗る」「組む」「撮る」「保管する」の工程で区切り、限られた空間でも現実的に回せるレイアウトを具体的に提案します。読み終えたとき、今日できる一手がはっきり見えているはずです。
- 作業と保管を分けて動線を短くする
- 机と棚の高さを合わせて水平面を広げる
- 塗装と撮影の空気の流れを干渉させない
- 電源と配線を先に決めて事故を防ぐ
プラモデル制作部屋のレイアウト入門|現場の視点
最初に決めるのは「どこで何をするか」です。部屋の四隅や壁面を活用し、制作・塗装・撮影・保管の四領域を重ならないように配置します。机は出入口から見て奥へ、ブースは窓に近い場所へ、撮影は反対側で光を扱いやすい方へ置くと、往復のムダが減ります。家具は目的に合わせた奥行きで選び、通路の幅を一定に保つと動きが滑らかになります。
部屋を四領域に分けて役割を固定する
「作る/塗る/撮る/保管する」を混在させると、毎回の片付けや機材移動が発生します。領域を分けて役割を固定すると、道具は定位置に戻り、作業は中断せず続けられます。境界はラグや棚で緩く仕切ると、狭い部屋でも圧迫感が出にくいです。机の天板は一段で足りなければ、ワゴンを横付けして拡張します。
机のサイズと高さの目安を決める
座面から肘までの高さに合わせ、天板は床から70〜74cmが起点です。奥行きは 制作用60cm以上、塗装や撮影の補助面は45〜60cmで十分です。椅子は可動式を選び、キャスターは床材に合うものへ。机の揺れは塗装の失敗につながるため、脚のガタつきは最初に解消しておきます。
壁面の活用で水平面を守る
作業面は常に空けておくのが理想です。工具やランナー、塗料は壁に逃がし、水平面=作業専用にします。パンチングボードやレール棚で可動化すると、作例に応じて配置を素早く変えられます。重いものは下、よく使う軽いものは目線周辺が基本です。
通路幅と開閉の干渉を避ける
引き出しや扉の開閉が通路を塞ぐと、身体が触れてパーツを落とす原因になります。最小でも60cm、理想は75cm前後の通路を確保し、ワゴンは引き出し方向と通路の向きを合わせます。出入口側は低めの家具で視界を抜き、奥に背の高い棚を置くと圧迫感が減ります。
床・音・振動の下ごしらえ
フローリングはキャスター音が響きやすいので、薄手のマットで面を整えます。ブースやコンプレッサーは防振材で浮かせ、机や壁の接触点を減らすと共振が抑えられます。床の段差はつまずきの元なので、配線モールで面一にしておきます。
- 部屋の寸法を測り四領域をラフに区切る
- 机の奥行きと高さを決めて通路を確保する
- 窓側へ塗装ブース、反対側へ撮影を配置する
- 壁面に工具と塗料の置き場を作り水平面を守る
- 配線と防振を先に施工し家具を固定する
| 壁付け一列 | 通路が広く掃除が楽 | 机が長くなると揺れやすい |
| L字型 | 手を伸ばす範囲が広い | 角に物がたまりやすい |
| アイランド | 複数人でも使いやすい | 広さと配線の工夫が必要 |
- ゾーニング:用途別に空間を分ける考え方。
- 水平面:物を置く平らな面。作業の基地。
- 可動収納:用途に応じて位置を変えられる棚やワゴン。
作業動線とゾーニングで迷いを減らす
動線は「取りに行く回数」を減らす設計です。座ったまま届く範囲に日常工具、半歩で届く範囲に塗料と治具、二歩で保管という三段階で配置します。よく使う物ほど近く軽くを徹底すると、作業の再開が速くなり、集中が続きます。
手の届く範囲を三層に分ける
第一層はピンセットやニッパーなど使用頻度の高い道具。第二層は塗料や希釈、持ち手類。第三層は未使用キットや完成品、ストック類です。棚やトレーにラベルを付け、戻す位置を固定すると、夜中の作業でも迷いません。
流れを止めない机上の定位置化
マットの端に「道具ライン」を作り、筆やナイフの向きを揃えます。廃液ボトルは利き手の外側、ランナー置きは奥側に。小さなルールですが、片付けやすさと事故の少なさに効きます。机上のゴミ箱は浅いものが便利です。
複数工程の同時進行を整える
塗装の乾燥待ちと組立てを同じ机で回すと、部材が干渉しやすくなります。乾燥棚を別面に確保し、工程が交差しないように並べると安心です。トレイは工程別に色や高さを変えて識別します。
- 第一層の道具は椅子に座ったまま取れるか
- 塗料と希釈は半歩で届く位置にあるか
- 乾燥と組立ては面を分けて干渉していないか
- トレイに工程名のラベルがあるか
- 戻す位置が誰でも分かるか
- 第一層:A4マット内の手前10cm
- 第二層:机の奥行き内の半歩圏
- 第三層:背面棚やクローゼット
- 通路幅:最低60cm 理想75cm前後
- 乾燥棚:視線よりやや高い位置
習慣になれば、片付けは工程の一部として軽く終わります。
収納計画と道具管理で机を軽く保つ
収納は「入れる」より「出しやすい」が基準です。棚の奥行きは狭い方が取り出しやすく、浅い引き出し×段数で仕分けると迷いが減ります。塗料は色相順に並べ、消耗品はワンアクションで取れる位置へ。机上に残すのは作業中の道具だけにして水平面を守ります。
塗料・溶剤の見える化
ボトルの天面に色票を貼り、色相環で並べると探す時間が短縮します。希釈や添加剤は別段に分け、倒れてもこぼれないトレイにまとめます

