本稿は「準備→下地→発色土台→色→境界→艶と保護」という流れで、各段に寄り道の少ないルートを示します。迷ったら「読める・保てる・戻せる」の3観点で圧と距離を整え、湿度と照明の条件を軽く合わせると、最小の調整で狙いに届きます!
- 最初に完成像を言語化し、色と艶の優先順位を決める
- 分解と洗浄で密着を確保、下地の段差を早めに平らへ
- サフは傷の見える化、色は薄層で段階化する
- 境界は「貼る前の想定」で手数を減らす
- 仕上げは艶と保護を分けて考え、記録で再現性を持たせる
ガンプラの全塗装を迷わず進める設計図|図解で理解
最終像が曖昧だと、途中の判断が揺れて手数が増えます。そこで最初に完成像の言語化を行い、色調・艶・境界の優先順位を置きます。数値は目安として扱い、面の艶と境界の清潔感を指標に据えると、作業中の迷いが少なくなります。ここでは設計図としての思考手順を固め、全体を一本の導線に通します。
完成像の言語化と色の役割分担
「光沢で金属感を出す」「半艶で密度感を出す」など、狙いを短く言葉にします。主役色と補助色を分け、補助は主役を支える役と決めると、希釈や距離の判断が速くなります。
優先順位の設定:艶か境界か面の密度か
艶重視なら層の均一性、境界重視ならマスキングの段取り、密度重視なら下地の段差解消を先に置きます。どれを一段高く置くかで、時間配分が変わります。
観察のポイントを固定化する
斜光で艶を確認、直光で色の乗りを確認、近距離でざらつきを確認と、観察の順番を決めます。毎回同じ順で見ると、微調整のリズムが安定します。
圧・距離・希釈の初期値を用意する
圧は0.07〜0.10MPa、距離は8〜12cm、希釈は「自重で滑る程度」を入口に置くのが目安です。ここから面と艶の反応を見つつ微調整へ進みます。
段取りの“抜け道”を決めておく
白化やにじみが出たときの戻し方、境界の滲みの救済手順を先に決めます。迷わず切り替えられると、仕上がりの乱れが広がりにくくなります。
目的を一つ上げると他が少し下がるのが自然です。三要素の均衡を狙うより、主役を一本通して副次を許容する方が再現性は高くなります。
- 完成像の短文はできているか
- 主役色と補助色を分けたか
- 観察の順番は固定できたか
- 初期値のメモを作ったか
- 救済の抜け道を決めたか
- 密度感:面の情報量が均一で薄さが出ない感覚
- 白化:湿気や過溶剤で艶が白く曇る現象
- 段差解消:継ぎ目やキズを均し平面へ近づける工程
- 抜け道:失敗時に作業を止めず修正へ移る手順
- 主役色:面の印象を決める中心の色
下地づくりと分解・洗浄:色乗りを支える準備
色は下地にしか乗りません。分解と洗浄で油分と粉塵を外へ出し、面の段差を早めに減らすと、後段のサフと色が短距離で決まります。ここでは分解→洗浄→整面の三段階を、最小の往復で通すやり方を示します。
分解の粒度と保管の導線
可動や塗り分けに必要な粒度まで分け、ジョイントやピンの向きは写真で記録します。皿や袋で系統分けすると、戻しの迷いが減ります。
洗浄の目的と洗剤の使い分け
離型剤や手油を落とすのが主目的です。ぬるま湯と中性洗剤を基本とし、細部はやわらかいブラシで優しく撫で、すすぎは長めに取ります。
整面と段差の初期処理
ゲートとパーティングラインを消し、合わせ目は流し込み接着後に均します。番手は大きめから小さめへ、粉の色が変わる瞬間を合図に進めます。
- 可動・色分けに応じて分解粒度を決める
- 洗浄→乾燥で油分と粉塵を外へ出す
- ゲート・段差・合わせ目を初期処理
- 仮組みで面と角の歪みを確認
- サフの前に触り跡とホコリを払う
分解し過ぎて戻せない→写真と系統保管で戻りを明確に。
洗浄が不十分→乾燥後のサフで弾きが出やすい。すすぎと乾燥時間を長めに。
整面のやり過ぎ→角が丸くなる。平面優先で角は最後に軽く。
- 分解は必要最小限でも十分
- 写真とラベルで戻しの迷いを減らす
- 洗浄後は自然乾燥を待つ
- 整面は平面→角の順で進める
- 仮組みで段差と歪みを早期発見
サーフェイサーとプライマー:発色と密着の土台を整える
サーフェイサー(サフ)は傷の見える化、プライマーは密着の下支えです。両者の役割を分けて考えると、ムラの原因が絞りやすくなります。ここでは色の明度と厚み、密着と乾燥の視点で、土台の作り方をまとめます。
色とサフの明度関係
濃色はグレー、淡色は白に寄せると段が短くなります。下地の明度が仕上げの鮮明度へ直結するため、面の均一性を優先します。
プライマーの使いどころ
ABSやメッキ跡、可動部のこすれなどには密着の背骨として薄く入れます。厚塗りは逆効果なので、霧で軽く通す程度が扱いやすい目安です。
乾燥と研磨のリズム
厚みに応じて乾燥時間を伸ばし、粉になってから軽く均します。粉がねっとりする段階は触らず、乾いた合図を待つ方が面が乱れません。
| 目的 | 推し下地 | 厚みの目安 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 濃色の発色 | グレー系サフ | 薄層×2〜3 | 面の段差を先に解消 |
| 淡色の発色 | 白系サフ | 薄層×2 | 透けを見て追加判断 |
| 金属色の下支え | 黒系サフ | 薄層×2〜3 | 艶で粒子の向きを整える |
| 密着の補強 | プライマー | 霧を薄く | ABS・可動に限定運用 |
| 傷の検出 | サフ全般 | 霧→本吹き | 段差は早期修正 |
- プライマーは“背骨”であり塗膜ではない
- サフは面の診断装置と考える
- 粉の手応えが乾きの合図
- 厚みの積み過ぎは段差を埋めるだけ
- 明度の選択が上塗りの効率を左右
注意:下地の色を変え過ぎると、狙いと違う発色に寄れます。主役色の傾向に合わせ、必要最小限の変更から始めるのが穏当です。
- 濃色主役ならグレー→黒の順で検討
- 淡色主役なら白を薄く刻む
- 金属色は黒の艶で粒子を整える
- ABSはプライマーを軽く添える
- 乾燥後の粉で面を均す
色塗りの流れ:希釈・圧・距離のバランスを掴む
色は薄層で段階化し、艶と密度を同時に育てます。希釈と圧、距離の三点を小さく振って、面の反応を見ながら進めると、破綻が出にくくなります。ここでは薄層→観察→次層のリズムを固定し、色ごとの注意点を並べます。
薄層で土台を作る
最初は砂吹きで足場を作り、面が湿って見え始めたら本吹きへ移ります。半艶で止める層を作ると、重ねの安定が増します。
メタリックとパールの扱い
粒子の向きが艶を左右します。距離と速度を一定に保ち、重ね過ぎないことが安定に直結します。光を斜めから当てて偏りを見ます。
クリアと色の重ね方
クリアは保護と艶の両方を担います。色の段差を馴染ませる薄い層を挟むと、最終の艶が落ち着きます。厚みは焦らず刻みます。
- 砂吹き→半艶→本吹きの順を固定
- 希釈を先に決め、圧で微調整
- 距離と速度は声かけで一定化
- 斜光で艶と粒子の向きを確認
- 冷える日は層間を長めに待つ
- 薄層は破綻が小さく修正がしやすい
- 半艶の足場で重ねが安定
- 観察点が少なく判断が速い
- 時間がやや伸びやすい
- 急ぎの厚塗りに向かない
- 環境の変化を受けやすい
- 薄層3〜4段で密度を育てる
- メタリックは重ね過ぎを避ける
- パールは角度で偏りを確認
- クリアは挟み層で馴染ませる
- 寒い日は層間を延ばす
- 薄層運用で作業中の失敗率が下がる傾向
- 観察の固定化で修正時間が縮む傾向
- メタ粒子の向き管理が艶の安定に寄与
マスキングとリタッチ:境界をきれいに保つ
境界の清潔感は完成度を押し上げます。テープは貼る前の設計で手数を減らし、剥がす瞬間の温度と角度を意識すると、滲みや段差が小さくなります。ここでは設計→貼り→剥がし→整えの順で、境界の手入れを並べます。
貼る前の設計と分割
境界線の“曲がり”を先に分割し、直線は長く、曲線は短く区切ります。段差が出やすい面は先に薄く色を入れ、滲み止めの足場にします。
剥がしの温度と角度
温度が低いと塗膜が脆くなり、糊が残りやすくなります。暖かい室内で、角度は浅く引き、境界から塗面を割らない動きを意識します。
リタッチの手順
滲みは極細の筆と溶剤薄めの色で軽く持ち上げ、段差はクリアの薄層でならします。深い段は乾燥後に再段取りへ移行します。
Q. 細い曲線が波打つのは?
A. 長いテープで無理に曲げると浮きが出ます。短く分割し、押さえは境界から外へ流します。
Q. 糊が残ったら?
A. 乾いた柔布で軽く転がすのが目安です。強溶剤は使わず、時間を置いてから再度試みます。
Q. 滲み止めは毎回必要?
A. 段差が出やすい面や、曲率の強い境界では有効です。全体ではなく要所に絞ると手数が減ります。
剥がす温度と角度を見直しただけで、境界の荒れが目に見えて減りました。貼る前の分割が効きます。
- 曲線は短く区切ったか
- 滲み止めの足場を用意したか
- 剥がす温度と角度を整えたか
- 糊残りは乾いた布で対処したか
- 深い段差は乾燥後に再段取りへ
ガンプラの全塗装で仕上げと保護を整える
最終段は艶と保護を分けて考えると、面の密度と耐久を両立しやすくなります。クリアは光沢・半艶・つや消しで表情が変わり、層の厚みと乾燥の取り方で質感が安定します。ここでは艶の設計→クリア→乾燥→保護の順で仕上げを整理します。
艶の設計:主役と背景の関係
主役の面は光沢で情報量を増やし、背景は半艶やつや消しで主役を持ち上げます。艶の差が小さすぎると平板になり、大きすぎると分断されます。
クリアの重ね方と研ぎ出し
薄層で段階化し、粉になってから軽く均します。研ぎ出しは面の乱れを整える作法で、角は当てず、平面に限定すると破綻が出にくいです。
保護と取り扱い
乾燥は温湿度の安定した場所でゆっくり取り、組み上げは接点に柔らかい布を挟むと傷が減ります。保管は埃と直射を避けます。
- 艶は主役と背景の対比で決める
- クリアは薄層で段階化
- 研ぎ出しは平面に限定
- 乾燥は時間で質を作る
- 保管は埃と直射を避ける
白化→環境を温かめにし、薄くクリアで馴染ませる。
曇り→重ね過ぎを疑い、層間を延ばす。
キズ→組立時の当たりを布で緩衝、接点に注意。
- 艶設計で主役と背景の差を決める
- 薄層クリア→乾燥→軽い均し
- 必要に応じて研ぎ出しで平面を整える
- 乾燥は温湿度の安定域で確保
- 組立と保管で接点を労わる
まとめ
全塗装は「設計→準備→土台→色→境界→艶と保護」の直線で捉えると迷いが減ります。完成像を短く言語化し、観察の順番と救済の抜け道を先に用意すれば、途中の判断が素直につながります。
圧と距離、希釈は小さく振り、薄層で段階化し、湿度や温度の条件を軽く合わせると破綻が小さくなります。最後は艶と保護を分け、時間を味方に付けて落ち着いた面を育てましょう。記録が次の再現性を連れてきます!

