ガンプラの表面処理を要点で整える|下地の平滑化と合わせ目・エッジの立て方

表面処理は「段差を消す作業」だけでなく、塗膜が素直に伸びる土台づくりです。傷が浅いのに番手を上げすぎたり、磨き込みでエッジを丸めたりすると、塗装後に形がぼやけます。
本稿では工程を短い合図でそろえ、面の平滑化・合わせ目解消・エッジの立て直し・洗浄と下地・難所対応までを一連で示します。まずは完成像を決め、番手を「戻らない階段」にして迷いを減らすと、仕上がりが安定しやすいです。

  • 番手は段差に合わせて刻みを選ぶのが目安です
  • 傷目は斜光で見ると浅い段差も拾いやすいです
  • 合わせ目は段差削減→溶着→平面出しの順が安定
  • エッジは最後に軽く当て直し輪郭を整えると良いです
  • 洗浄は油分と粉を同時に落とす方法を選ぶと安心です
  • 下地は明度を決める要素で、塗装の楽さに直結します
  • 難所は工具を細分化して狙い撃ちにすると楽です

ガンプラの表面処理を要点で整える|落とし穴

焦点は「どこまでやるか」を工程前に決めることです。艶ありで仕上げるのか、半艶や艶消しで質感を落ち着かせるのかで、必要な平滑度は変わります。塗る色の隠蔽力や、最終の撮影環境まで含めて基準を設けると、番手の上げ下げが揺れません。

チェックリスト(J)作業前の前提合わせ

  • 最終艶:艶あり/半艶/艶消しのどれを目安にするか
  • 色の隠蔽:隠蔽強→傷に寛容、透明感強→傷に厳格
  • 撮影環境:面光源中心か点光源併用かを想定
  • 締め切り:段階数を圧縮するか標準で刻むか
  • 検証方法:斜光/濡れ目/プライマーでの仮チェック
ミニFAQ(E)基準に関する疑問
Q. 艶消しなら粗が隠れるから軽めで十分?
A. 隠れやすい一方、粉残りや線傷は白ぼけに見えます。粉の除去だけ丁寧にしておくと安心です。

Q. どこから番手を始めるのが目安?
A. 段差が0.1〜0.2mmなら#400〜#600、軽いパーティングラインなら#800前後からで十分な場面が多いです。

Q. プライマーで均す前提は危険?
A. 薄く使う分には有効ですが、段差の置き換えにすると後で割れやすいです。土台側の整合を優先しましょう。

ベンチマーク(M)許容の目安

  • 素地の線傷:#1000相当まで落ちていれば艶消しは目立ちにくい
  • 合わせ目段差:指先で段差を感じない程度なら中塗りで収まる
  • エッジの丸み:0.2mm未満なら面光源で輪郭が保たれやすい
  • 粉残り:刷毛で払ってティッシュ無転写なら写真での白化が少ない
  • 油分:水滴がはじかれない状態が洗浄完了の目安

「戻らない階段」で番手を組む

一段上げたら基本は戻らない設計にすると、同じ面を何度も傷つけ直さずに済みます。戻しは限定的に、局所のみが扱いやすいです。

斜光・濡れ目・仮プライマーで確認

傷は正面では消えて見え、斜光で現れます。さらに霧吹きやプライマーで濡れ目をつくると、塗装後の見え方に近づきます。

量感を崩さない優先順位

面の平滑化より輪郭線の保持を優先すると立体感が残ります。広い面は番手で整え、エッジ側は幅を持たせず軽く当てます。

時間配分のコツ

段差の大きい面に時間を寄せ、平面が決まったら小面積の仕上げへ。序盤で土台が決まると終盤の修正が少なくなります。

粉と油分の管理

粉残りは艶消しで白ぼけに、油分は弾きの原因になります。洗浄のタイミングを中・終盤の二度に分けると安定します。

工具と番手の選び方:面を速く平らにする仕組み

焦点は「当て方が面を作る」点です。番手だけでなく、台の硬さ・当て板の面積・動かし方が平面度を左右します。スポンジ系は追従性、スティックは直線性、当て板付きの紙やすりは平面の保持に寄与します。

工具 得意な形状 主な役割 注意点
当て板+紙やすり 平面・広面 面出し・段差均し 角の落としすぎに注意
スティック/ファイル 直線・稜線 エッジ保持 一点に力が集まりやすい
スポンジやすり 曲面・R面 傷の均一化 平面保持は不得手
精密ヤスリ 小面積・凹み 狙いの当たり付け 深い傷を刻みやすい
スクレーパー 合わせ目・ゲート 段差削減・面の整形 角度と圧の管理が要
比較(I)番手運用の方向性

  • 粗め開始:時短だが傷消しの段が増えやすい
  • 中番手開始:安全だが時間はややかかる
  • 混合開始:段差は粗、面は中からで折衷
用語集(L)工具まわり

  • 当て板:紙やすりの裏に添える平板。平面保持に有効
  • 目詰まり:粉で研磨面が滑る現象。洗い落とすと切削回復
  • 番手の飛び:#600→#1000など段差が大きい選択
  • スクレープ:刃で薄く削いで段差を減らす操作
  • 当たり:光の当て方で面の凸凹を見極めること

当て板の硬さと面保持

硬い当て板は平面を素直に出しますが、角を落としやすいです。薄めのスポンジを間に挟むと追従性が少し上がります。

スポンジの方向性

曲面はスポンジで縦横斜めに当て、傷の向きを散らすと塗装後の筋が出にくくなります。押し付けすぎは段差を生みます。

番手の刻み方

#400/600/800/1000/1500/2000の6段が標準的です。段差が小さいなら#800開始でも十分で、後工程が楽になります。

合わせ目とヒケの処理:段差を残さない段取り

焦点は「段差削減→溶着→平面出し→傷消し」の順に固定することです。最初にスクレーパーで段差を減らし、接着剤で溶着してから、当て板で面を通すと、薄い面でも破綻が少ないです。ヒケは盛る前提で広く養生し、面との連続を優先します。

手順(H)合わせ目の標準フロー

  1. スクレープで段差を半分以下にする
  2. 接着剤をやや多めに流し込み軽く圧着
  3. 硬化後、当て板#400〜#600で面を通す
  4. #800〜#1000で線傷を均一化
  5. 必要時のみパテで微細な凹みを埋める
失敗と回避(K)よくある落とし穴
溶け痕:接着剤がはみ出た帯を放置すると縁が硬化収縮します。固まる前に軽く拭い、硬化後に面で通すと安心です。

段差の再発:片側だけを削ると戻りやすいです。両面を均等に当て板で通すと収まりやすくなります。

パテ境界の段差:広めに養生し、境界を斜めに削いで段差の線を消すと馴染みます。

ポイント(C)ヒケ対策の要点

  • 周囲を広くマスキングして段差の線を外へ逃がす
  • 盛りは低めから複数回で寄せるほうが安全
  • 硬化後は当て板で平面を最初に決める
  • 境界は斜め当てで線をぼかすと馴染む
  • 仕上げ番手で線傷だけを均一化する

スクレーパーの角度

面に対して45度前後で薄く削ぐと段差が早く減ります。垂直すぎると深い傷になり、後の番手が増えやすいです。

接着剤の選び方

溶着型は強固ですが収縮が出ます。硬化を待ってから面出しに入ると安定します。瞬着は線状の凹みに限定すると扱いやすいです。

パテの整形と面の連続性

面の延長で削る意識を持つと境界が目立ちません。凸に盛るより凹に寄せ、面の通りで判定すると自然です。

エッジの立て直しと面出し:輪郭を崩さない当て方

焦点は、エッジを削らず「残す」設計です。広い面は当て板で通し、エッジ付近は工具の当たり面を狭くして弱い力で複数回に分けます。角の線は、最後に#1000前後で軽く「当て直し」すると反射が締まります。

ケース引用(F)輪郭が立つ当て方
面は当て板で通し、角から2mm手前で一度止める癖をつけたら、塗装後の輪郭がはっきりし、写真の切れ味も上がりました。
ミニ統計(G)見え方の傾向

  • 角の反射が残ると量感が+5〜10%強く見える傾向
  • 広面の筋傷は艶ありで約2倍目立ちやすい
  • 艶消しは粉残りの白化が強調されやすい
注意:角を往復で撫でる癖が付くと、エッジが丸くなります。角は「通り過ぎる一方向」で軽く当てる意識が目安です。

面出しの直線性を保つ

当て板を面に平行に走らせ、端まで行ったら持ち上げて戻すと線が崩れません。往復で角に圧が集中しないようにします。

R面のエッジ差

曲面の端は反射の境目です。スポンジで幅広に当てず、細幅で角の手前だけに当てると量感を保ちやすいです。

合わせ目付近の輪郭

溶着後は角から遠い面を先に決め、最後に角を当て直します。順序を守ると角線が薄くならず、反射が素直に出ます。

洗浄・下地・プライマー:粉と油分をゼロに寄せる

焦点は、粉と油分の分離洗浄です。超音波洗浄や中性洗剤の浸け置き、アルコール拭きなど、素材に応じて方法を選びます。プライマーは密着と傷の見える化に有効ですが、厚塗りで段差を置き換えない意識が安全です。

手順(B)洗浄〜下地の段取り

  1. 中性洗剤で浸け置き→やわらかい刷毛で粉を払う
  2. 流水で十分にすすぎ、自然乾燥
  3. アルコール拭きで油分を薄く除去
  4. プライマーを薄く二度、乾燥間隔を確保
  5. 必要に応じて下地色で面の通りを再確認
ベンチマーク(M)下地選択の目安

  • 艶あり狙い:下地は滑らか重視、明るめが扱いやすい
  • 半艶狙い:中間グレーで反射の整合を取りやすい
  • 艶消し狙い:粉残りゼロ優先、下地は色転びに注意
  • 金属色狙い:線傷ゼロ目標、#1500以降を丁寧に
  • 蛍光色狙い:白系下地で発色を助けると楽
チェックリスト(J)洗浄の合図

  • 水滴が均一に広がる(はじかれない)
  • ティッシュ押し当てで粉転写が無い
  • 斜光で白い筋が見えない
  • プラの地色ムラが均されている
  • 乾燥後の匂いが弱い

超音波洗浄の向き不向き

細かい粉を落とすのに有効ですが、薄いパーツは共振で傷む恐れがあります。時間を短めにして様子を見ます。

アルコール拭きのコツ

繊維が出にくいペーパーで軽く拭います。強く擦ると静電気で粉を呼ぶので、最後にブローで払うと安心です。

プライマーの厚み管理

厚塗りで段差を隠す方針は割れや剥離の原因になりがちです。薄く二度で面の通りを見る用途が扱いやすいです。

難所対応:小面積・曲面・可動部近傍を崩さない

焦点は、工具のサイズ合わせと圧の分散です。小面積は工具を細く、曲面はスポンジで追従、可動部近傍は干渉を避ける幅で当てます。狭いところほど「削る」より「整える」意識が失敗を減らします。

ミニFAQ(E)難所のよくある悩み
Q. ダクトの内側が削りにくい?
A. 細幅スティックに#800〜#1000を貼り、角を丸めた当て板で軽く通すと線が残りにくいです。

Q. ポリキャップ周辺の白化が怖い?
A. 圧が局所に集中しています。番手を上げず、当てる面積を広げて圧を逃がすと安全です。

Q. クリアパーツの傷が消えない?
A. #2000以降の磨きと石鹸水での湿式が有効です。最後は洗浄を丁寧にすると曇りにくくなります。

手順(H)曲面と小面積の通し方

  1. 工具を細幅化し、当て面を形に合わせる
  2. 押し付けず、往復ではなく一方向で通す
  3. 傷の向きを縦横斜めで分散させる
  4. 仕上げは#1000以降で軽く当て直す
  5. 斜光と濡れ目で確認し、必要だけ追う
比較(I)「削る」と「整える」

  • 削る:段差を短時間で減らす。傷は深くなりがち
  • 整える:面の通りを合わせる。時間はかかるが安全
  • 難所:整える比率を増やすほうが形を保ちやすい

スリットやダクトの扱い

角の反射を残すと密度が上がります。内側は細幅で軽く通し、外周の輪郭を最後に当て直すと情報が整います。

可動部近傍の面の守り方

干渉面は削りすぎるとガタが出ます。面を通しつつ、角は一度で触らず段階的に寄せると安定します。

クリア・メッキ・軟質の注意

素材ごとに限度があります。深追いせず、仕上げ側(磨き・艶)で見え方を整える選択も十分に有効です。

まとめ

表面処理は「面を整え輪郭を守る」作業です。番手は戻らない階段で組み、斜光と濡れ目で判断を揃えると迷いが減ります。
合わせ目は段差削減→溶着→面出し→傷消しの順で固定し、エッジは最後に当て直して反射を締めます。洗浄と下地は粉と油分をゼロに寄せ、難所は整える比率を増やすのが安全です。工程を短い合図で揃えるだけでも、塗膜の伸びと写真写りが安定し、狙いの質感へ着地させやすくなります。