一方で、素材によっては割れが起きやすい場面もあり、重ね方や乾燥時間の配分が仕上がりを左右します。この記事では、特性と工程、色の選び方、トラブル対策、代替との棲み分けを順に整理し、迷いやすい判断を目安化しました。まずは“観察→薄塗り→乾燥→確認”の循環で安定度を上げていきましょう!
- 小傷の埋めと色乗り安定に強み。広面積は他手段が無難。
- ABSは厚塗りで割れが出やすい傾向。乾燥を長めに取る。
- 黒系は引き締め、白系は鮮やかさ重視、灰色は汎用。
- ペン先のメンテと希釈拭き取りで塗膜ムラを抑える。
ガンダムマーカーのサーフェイサーで下地づくり|落とし穴
この章では、ペンタイプのサーフェイサーの基本機能と適用範囲を整理します。焦点は「小面積の調整力」「素材ごとの注意」「色選びの指標」です。まずは部分補修向けという前提で捉えると、判断が揺れにくくなります。
サーフェイサーの主な役割とペンタイプの特徴
サーフェイサーの役割は、微細な傷やヤスリ目の埋め、塗料の食いつき向上、下地色の均一化です。ペンタイプは狙った箇所だけに塗りやすく、マスキングの準備時間が短縮できます。
その一方で膜厚管理が難しく、厚塗りで段差が残ると後工程で研磨量が増えます。点在する小傷に“当てる→乾かす→薄く均す”の反復が向いています。
向くシーンと向かないシーンを切り分ける
向くのは、合わせ目のピンホール埋め、ヒケの薄い段差補正、パーティングライン後のヤスリ目隠しなどの小面積です。
向かないのは、大型パーツの全面均しや一体成形の外装全周処理といった広い面で、これは缶サフやエアブラシの一括噴霧が効率的です。
素材と割れリスクの目安
PS(一般的なスチロール樹脂)は比較的安定ですが、ABSやクリア系は厚塗り・急乾でストレスが溜まりやすいです。力のかかるジョイント周辺は薄く複数回に分け、乾燥時間を長めに取るのが目安です。
色選び:グレー/ホワイト/ブラックの使い分け
グレーは万能で、上塗り色の判定やキズの可視化に向きます。ホワイトは明色や蛍光色の発色を助け、ブラックはメタリックの締まりや暗色の深みを補います。
迷ったらグレーで“判定→微調整”の順に進め、必要に応じて部分的に白や黒へ置き換えるとムダが減ります。
ペンタイプ特有の乾燥と研磨の関係
ペン塗りは溶剤の抜け方が不均一になりやすく、触れる乾きと研磨に耐える乾きの間に差が出ます。触れても指紋が付かないレベルから、さらに待って内部の残留溶剤が抜けるまで置くと、研磨時の目潰れが少なくなります。
注意:一度に仕上げを狙う厚塗りは段差と割れの原因になりがちです。狙いを“面全体”ではなく“気になる点”に絞るほど、仕上がりが安定します。
手順ステップ(まずは小面積で安定化)
- 気になるキズを鉛筆印で可視化する
- 印の箇所にサフを軽く点置きする
- 完全乾燥を待ち、耐水ペーパーで均す
- 残る箇所にだけ二度目を薄く当てる
- 下地色の均一感を確認して次工程へ
ミニ用語集
- ヒケ
- 成形収縮で生じる浅い凹み。薄塗り→乾燥→研磨で徐々に均す。
- ピンホール
- 微小な穴。点置きと乾燥反復で埋めると周囲を荒らしにくい。
- 足付け
- 塗料の食いつきを助ける微細な傷付け。番手は細かめが目安。
工程設計:洗浄・番手・塗り方・乾燥・研磨の配分
安定した下地は、工程の分解と配分で実現します。焦点は「前処理の丁寧さ」「薄膜の重ね」「乾燥の取り方」です。時間を短縮したいほど、薄く回数を増やす発想が有効になります。
洗浄と足付け:前処理で半分決まる
離型剤や皮脂が残ると弾きやムラの原因になります。中性洗剤で洗い、乾燥後に800〜1000番で軽く足付けします。
深い傷を避けたい場面は1000〜1200番から入り、紙やすりは水研ぎで目詰まりを抑えると均一になりやすいです。
塗布の工夫:点置き・線引き・面ならし
ペン先で“点置き→軽く伸ばす”を基本に、合わせ目などは短い線でつなげます。広く塗る必要があるときは綿棒や使い捨て筆にインクを移し、薄く広げると段差が出にくいです。
乾燥と研磨:内部まで待つ発想
触って乾いても内部が柔らかいと研磨でダレやすいです。目安としては室温や膜厚で前後しますが、触乾→+αの待ち時間を設け、4000〜6000番のスポンジやすりで均します。
局所の段差は再度点置き→完全乾燥→均しの反復で、全体の膜厚を抑えながら整えられます。
手順ステップ(基本の流れ)
- 洗浄→乾燥→軽い足付け
- 点置きでサフをのせ、境界をぼかす
- 乾燥を待ち、スジぼりを傷めない研磨
- 必要箇所のみ二度目の薄塗り
- 均一感を確認して上塗りへ進む
ミニチェックリスト
・足付けの番手は過剰に粗くないか
・段差は“点で埋める”方針にできているか
・乾燥は触乾+αの余裕を確保できたか
ベンチマーク早見
・足付け:1000±200番/水研ぎで目詰まり低減。
・乾燥:触乾後に余裕時間を追加。厚膜時は長め。
・研磨:スポンジやすり4000〜6000番で穏やかに。
下地色が発色を左右する:グレー・白・黒の効果と応用
下地の色は上塗りの見え方を大きく変えます。焦点は「基準をグレーで置き、必要に応じて白黒を使い分ける」ことです。面全体でなく“見せ場の帯”だけ色を替える運用も有効です。
グレー基準でキズと段差を可視化
グレーは光の反射で段差が見えやすく、キズ拾いに向きます。迷ったらまずグレーで均一化し、発色に不満がある帯だけ白や黒に差し替えると効率的です。
白系で明色と蛍光色を引き立てる
レッドやイエロー、蛍光色は白下地で鮮やかに出やすくなります。部分的に白へ差し替え、境界はグレーで緩衝すると色段差が目立ちにくいです。
黒系でメタリックと暗色を締める
黒はメタリックの深みを補い、暗色の締まりを生みます。広範囲に使うと厚膜化しやすいので、モールドやエッジ帯など狭い範囲で活かすと扱いやすいです。
比較ブロック(発色への寄与)
グレー:均一化と判定の基準。段差検出が容易。
白:明色・蛍光の鮮やかさ重視。
黒:メタリックと暗色の締まり向上。
ミニ統計(色替えの実感値)
・白下地への差し替えで明色の鮮やかさが上がる体感が多い。
・黒下地はメタリックの陰影が強調されやすい。
・グレー基準はキズ拾いと段差検出の再現性が高い。
- 見せ場帯を決める(胸・肩・頭部など)
- 帯ごとにグレー→白/黒の置換を検討
- 境界はグレーで緩衝して段差を抑える
- 試し塗り片で発色を事前確認
- 本番は薄く速く重ねる
トラブル対策:割れ・にじみ・ムラを抑える現実解
トラブルは原因と再発防止を同時に考えると解決が早まります。焦点は「ABSへの配慮」「にじみの抑制」「ムラの予防」です。薄膜・乾燥・再確認の三点で安定度が上がります。
割れ:ABSと力のかかる部位に配慮
ABSは応力が溜まりやすく、厚塗りや強い曲げでクラックが出やすいです。関節周りや嵌合部は可動確認後に塗り、塗膜が干渉しないかを仮組みで見ておくと安心です。
必要ならサフを避けて上塗り直行、あるいは缶サフに切り替えるなど、場所単位で判断するとトラブルを避けられます。
にじみ:上塗りとの相性と乾燥の取り方
油性系の上塗りを強く擦りつけると下地が動く場合があります。触乾の直後は避け、内部乾燥を待ってから、最初の一層は薄く置くとにじみが出にくいです。境界は軽いドライタッチで通過させ、様子を見ながら重ねます。
ムラ:膜厚とペン先の状態管理
インクの出が偏ると筋ムラになります。ペン先は時折ティッシュで余分を抜き、必要に応じて一度キャップ内でインクを馴染ませてから当てると安定します。
広範囲は綿棒や使い捨て筆で“薄く均一に広げる”方が段差になりにくいです。
よくある失敗と回避策
1) 早く隠したい厚塗り:点置き反復へ切替。
2) 触乾即研磨:内部乾燥まで待つ。
3) 可動部まで一律処理:素材・位置で判断を分ける。
注意:割れが出た部位は、無理に重ねず一旦やめて原因を切り分けます。素材・厚み・応力のいずれかに要因があるはずなので、別手段(缶・筆)も視野に入れましょう。
ミニFAQ
Q. にじみが怖い?
A. 触乾+内部乾燥の時間を取り、最初の一層を極薄にするのが近道です。
Q. 筋ムラが消えない?
A. ペン先のインク量を抜き、綿棒転用で薄く広げると安定します。
代替・併用・応用:缶サフや筆サフとの棲み分けとペン先メンテ
最適解は一つではありません。焦点は「道具の役割分担」「狭所の強み」「メンテの習慣化」です。目的に応じた併用で作業時間と仕上がりのバランスが取りやすくなります。
缶サフ・エアブラシとペンの棲み分け
広面積の均一化は缶やエアブラシが有利です。ペンは狭所・ピンポイントの補正に特化させると効率が上がります。
面全体→缶サフ、ポイント→ペンという役割を基本に、必要なら筆サフで“面の繋ぎ”を補います。
狭所補修とエッジ帯の活かし方
角の欠けやエッジの段差はペンの狙いやすさが活きます。点置きで盛り、完全乾燥後にエッジを残すように研磨するとシャープさを保ちやすいです。
ペン先と保管:出の安定を維持する
使い終わりにペン先を軽く拭い、キャップを確実に閉めます。長期未使用時は試し紙で状態確認し、出が悪ければティッシュで余分を抜いてから馴染ませると復調しやすいです。
| 用途 | 道具 | 強み | 留意点 |
|---|---|---|---|
| 全面均一化 | 缶/エアブラシ | 速く均一 | マスキングと環境が必要 |
| 部分補修 | ペン | 狙い撃ち | 厚塗りに注意 |
| 面の繋ぎ | 筆 | 境界をぼかす | 希釈と筆運びの管理 |
狭所はペンで整え、面は缶で一気に整える“二段構え”にしたら、再研磨の手間が減って作業が軽くなりました。
注意:同じ箇所に異なる溶剤系を重ねる場合は、必ず乾燥を長めに取り、試し片で干渉の有無を確認してから本番に当てます。
作例レシピ:色帯ごとの下地設計と反復のコツ
最後に、実際の色帯を想定した小さなレシピで、下地設計を具体化します。焦点は「帯を分けて狙う」「薄く速く重ねる」「確認のタイミング」です。面ではなく帯で考えると、失敗が収束しやすくなります。
濃い成形色に明色をのせる帯
胸の赤や黄色など明色帯は、グレーで段差確認→白で発色補助→上塗りの順が目安です。白は全面でなく“見せ場”だけに使い、境界はグレーで緩衝すると段差が目立ちにくくなります。
メタリック帯の下地と締まり
フレームのメタリック帯は黒下地で陰影を出しやすくなります。モールドの谷は薄く通し、エッジは残す意識で研磨すると、光の拾い方が整います。
部分補修:合わせ目とピンホール
接着後の合わせ目は、点置き→完全乾燥→研磨→再点検の反復で段差を消していきます。ピンホールは“穴だけにのせる”イメージで盛ると、周囲の面が荒れにくいです。
- 帯単位で“目的→下地色→上塗り”を決める
- 白/黒は帯限定で使い、境界はグレーで緩和
- 点置き→完全乾燥→軽研磨の反復を小刻みに
手順ステップ(帯ごとの反復)
- 帯をマスキングで軽く分ける
- グレーで段差確認と判定
- 必要帯に白/黒を薄く重ねる
- 完全乾燥後にスポンジやすりで整える
- 上塗りの一層目は極薄で様子を見る
比較ブロック(帯思考の効果)
面一括:速いがリスクも一括で拡大。
帯分割:工程は増えるが失敗の影響が限定され、やり直しが容易。
まとめ
ガンダムマーカーのサーフェイサーは、小面積の調整に強みがあり、狭所や見せ場の帯を狙うほど仕上がりが安定します。まずはグレーで段差とキズを判定し、必要帯だけ白や黒に差し替える発想が扱いやすい流れです。
工程は“洗浄→足付け→薄く点置き→完全乾燥→軽研磨”の反復が目安になり、ABSや可動周辺は薄く回数で攻めると割れを避けやすくなります。広面積は缶やエアブラシへ委ね、ペンは狭所の補正や繋ぎに特化させると、時間と仕上がりのバランスが取りやすくなるでしょう。
帯単位の設計と乾燥の余裕、そして再確認の一呼吸を重ねるほど、色乗りと表面の落ち着きが揃い、次の塗装がぐっと進めやすくなります!

