キャンディ塗装の下地にゴールドを選ぶ基準|発色と粒子感の作り方

透明色を重ねて深い色味を出す“キャンディ塗装”は、下地の反射が仕上がりを左右します。ゴールド下地は温かい反射と粒子のきらめきで赤やオレンジ、グリーンに独特の厚みを与えますが、粒径や塗り重ねの量で印象が大きく変わります。そこで本稿は、ゴールド下地の選び方と発色の作り方、ムラの抑制と補修の流れを、模型の現場感に沿ってまとめました。
まずは“どんな色を目指すのか”を短い言葉で決め、粒径と明度、コートの厚みを対応させると迷いが減ります。仕上がりは工程の整合で近づきますから、分岐が多い部分ほど手順を簡潔に固定しておくと安心です。

  • 温かい反射が欲しい:ゴールド下地+赤系や琥珀系のキャンディ
  • 金属感を強めたい:細粒ゴールド+硬めのクリアコート
  • 彩度優先で行きたい:明るいゴールド+薄膜多層の重ね
  • 落ち着いた光沢を狙う:やや鈍い金+トップの艶調整

キャンディ塗装の下地にゴールドを選ぶ基準|最新事情

キャンディ塗装は、透明な色味(クリアカラー)が入射光を選択吸収し、下地で反射して再び透過する往復で色が深まります。ゴールドを下地に選ぶと、赤〜黄域の反射が強まり、同じ透明色でも暖色の立ち上がりが早く感じられます。ここでは粒子の大きさ、色味のトーン、結合樹脂の相性を基準に、下地ゴールドの選び方を整理します。

粒径で変わる“面の粗さ”ときらめき

ゴールドのメタリックは微細な金属片や雲母顔料の集合で、粒径が大きいほどきらめきは強く、面は粗く見えます。細粒は滑らかで発色が均一になりやすい一方、遠目の“金らしさ”は控えめです。仕上げたいスケールや距離感で粒径を合わせるのが近道です。

トーン(明度・彩度)の見極め

明るいゴールドはキャンディ色の彩度を支え、暗いゴールドは落ち着きと厚みを演出します。赤系ならやや明るめ、緑系や褐色寄りは中庸〜やや暗めが目安です。
光源の色温度でも見え方が変わるため、作業灯と自然光の双方で確認しておくと色のズレが抑えやすいです。

樹脂相性と上塗りの密着

ラッカー系のゴールドに同系クリアを重ねるのが一般的です。エナメルや水性を上に置く場合は、砂吹きからの段階接着で溶け出しを避けます。間に薄いクリアを一層挟む“インターバリア”はにじみ防止の手掛かりになります。

色設計の手順(原理→素材→工程)

手順

  1. 目標色を“暖・中・冷”と“淡・中・濃”で言語化する
  2. 粒径(細・中・荒)とトーン(明・中・暗)を決める
  3. 中間クリアの有無と乾燥間隔の目安を決める
  4. テスト片で2〜3段階の重ね回数を比較する
  5. 本番のロットで希釈と圧力を固定する

注意:テスト片は本体と同じ素材・下地で作ると差が読めます。別素材だと吸い込みや艶の乗りがズレるため、判断が難しくなります。

ミニチェックリスト
・粒径はスケールに合わせて選ぶ
・光源を2種以上で確認する
・中間クリアの有無を先に決める
・希釈と圧力は数値で記録
・テスト片は本体材料と同一にする

発色に効く“下地×キャンディ”の組み合わせ

同じキャンディでも、下地のゴールド次第で色の行き先が変わります。ここでは代表的な組み合わせを取り上げ、明度・彩度・金属感のバランスを比較します。狙いを“鮮やか・厚み・渋さ”の軸に置くと、選択が整理されます。

鮮やか重視:明るい金+赤系キャンディ

明るめのゴールドにレッドやオレンジのキャンディを薄く多層で重ねると、鮮度の高い発色が得られます。ムラの出やすい局面では、一旦乾かしてから軽い霧で均し、艶を整えると段差感が薄れます。

厚み重視:中庸金+アンバー/ブラウン

中明度のゴールドにアンバーやブラウンを合わせると、琥珀のような厚みが出ます。金属感はほどよく残り、陰影で色が深く見えるため、大きめの面でも単調になりにくいです。

渋さ重視:やや暗い金+グリーン/スモーク

やや暗いゴールドにグリーンやスモークを重ねると、落ち着きと重量感が出ます。反射が強すぎると色が“浮く”ため、拡散光で様子を見ると狙いを外しにくいです。

比較
メリット:狙い別に微調整がしやすい/下地の在庫活用が効く。
デメリット:粒径と明度の相性を外すと“ギラつき”や“眠さ”が出やすい。
明るい金+赤系で“軽い”印象になった時は、中間にごく薄いスモークを挟み、最終のレッドを一層足すだけで落ち着きが戻りました。
ベンチマーク早見
・鮮やか:明るい金+レッド/オレンジ薄膜多層。
・厚み:中庸金+アンバー/ブラウン中膜。
・渋さ:やや暗い金+グリーン/スモーク薄膜+艶控え。

工程設計:下地作りから重ね方まで

色の理屈が見えたら、実際の工程を整えます。下地ゴールドは“傷の拾い”が強いため、素地の平滑と下塗りの均一が安定の鍵になります。ここでは下地の作り方からキャンディの重ね、乾燥と艶の管理までを段階で示します。

素地とサーフェイサーの整え

成形肌の段差やヒケはゴールドで強調されやすいです。#600〜#1000の耐水で面をつなぎ、サフは薄く二〜三回で色ムラを消すと、後工程が素直になります。
色サフはグレーが万能ですが、温かさを優先するならウオームグレーも有効です。

ゴールドの乗せ方

砂吹き→薄膜→均しの三段で、各段の“乾きかけ”を守ると肌が荒れにくいです。面が長いときは帯状に送らず、半重ねの“点々縫い”で走らせると塗り縞の予防に効きます。

キャンディ層と中間クリア

キャンディは濃度を一定にし、1回当たりを薄くして回数で色を作る発想が扱いやすいです。ムラが見え始めたら乾燥→ごく薄いクリア→再開の“リセット”で均一化を図ると安定します。

段階 目安時間 吹き方 ポイント
素地均し #600→#1000 段差とヒケを連続面に
サフ 10〜15分/層 薄く2〜3回 色ムラ消しと傷埋め
金下地 5〜10分/層 砂→薄→均し 半重ねで縞予防
キャンディ 5〜8分/層 薄く多層 色は回数で作る
中間クリア 15〜20分 ごく薄く ムラの均しに有効

ミニFAQ
Q. 金が“ざらつく”?
A. 近すぎ・濃すぎの可能性があります。距離を開け、希釈を上げると滑らかに寄ります。
Q. 色が“重い”?
A. キャンディを一層戻し、中間に薄いクリアを入れると抜けが出ます。

よくある失敗と回避策
1) 濃度ムラ→計量カップで毎回同倍率に。
2) 乾燥待ち短縮→表面乾燥は早いが、層内は遅い前提で少し待つ。
3) ゴミ噛み→層の区切りで粘着クリーナーを軽く転がすと抑えられます。

キャンディ塗装の下地にゴールドを使う狙いと調整の目安

ここでは主軸である“キャンディ塗装 下地 ゴールド”を軸に、色の目標と粒子感、艶の落としどころを数値寄りの目安でまとめます。狙いが文章だけだと揺れやすいため、粒径や希釈、圧力と距離を合わせて“座標”にしておくと再現しやすいです。

粒子感と面のスケール合わせ

1/144や1/100など小スケールは細粒寄りが面の密度と噛み合います。1/24以上の大面は中粒で“金らしさ”を少し増やすと、遠目の印象が生きます。荒粒は強い効果ですが、キャンディが薄いと顔を出しやすいので注意です。

圧力・距離・希釈の関係

0.08〜0.12MPa・距離10〜15cm・希釈1:1.2〜1:1.5あたりが安定域の例です。濡れが強くなると粒子が泳ぎ、ムラと肌荒れにつながります。
距離を1〜2cm動かすだけでも印象が変わるため、手元の支点を固定して一定の角度で送るのが目安です。

艶の落としどころと保護

キャンディは艶が立つと透明感が増しますが、反射が強すぎると立体の情報が隠れます。半艶〜艶で被写体や用途に合わせるのが落ち着きます。トップは薄く二回、最後に濃い霧で肌を締めると艶の均一が整います。

  • 細粒×薄膜多層:均一・鮮度優先の設計
  • 中粒×中膜:厚みと金属感の両立
  • 荒粒×薄→中:強いきらめき、ムラ警戒

ミニ統計
① 粒径を一段細かく→面の“荒れ”の見えが減少の傾向。
② 希釈を1:1.5→肌の均一感が上がる例が多い。
③ 中間クリア一層→ムラ補正の成功率が上がる傾向。

手順(再現性の底上げ)

  1. 粒径・圧力・距離を先に固定
  2. 希釈を一段階刻みで記録
  3. テスト片で回数と色の関係を撮影
  4. 本番は“層の乾き”を合図に送る
  5. 終了後に配合と環境を記録し再現性を確保

色相別の応用:赤・橙・緑・褐色の作り分け

ゴールド下地は暖色と相性が良い反面、緑や褐色でも厚みの源になります。ここでは色相ごとの狙い別に、工程の微調整を示します。色は“下地の反射×透明色の吸収×艶”の積で決まるイメージで、どこを動かすかをはっきりさせると迷いが減ります。

赤系:明るい金+薄膜多層

赤は薄く回数で作ると濁りにくいです。最初の二層は砂に近い霧で“足場”を作り、三層目から濃度をやや上げるとムラが出にくいです。艶は最後に整える発想が安定します。

橙・琥珀系:中庸金+中膜

アンバーやオレンジは中庸の金と相性がよく、二〜三層目で一気に色が乗るため、過多に注意します。途中の中間クリアはにじみ予防と段差の均しに役立ちます。

緑・褐色:やや暗い金+薄→中膜

緑は反射の“黄”が強すぎると黄緑に寄りがちです。キャンディ濃度を控えめにして層の枚数で調整すると狙いを外しにくいです。褐色は艶を半段落とすだけで表情が増します。

  1. 色相ごとに“薄/中/厚”の層構成を決める
  2. 一度に進めず、乾燥を小刻みに挟む
  3. 露出の違う光でチェックし、濁りを早期発見
  4. 必要ならスモークやグロスで微調整
  5. トップで艶をまとめて印象を整える
黄被り
想定より黄が強く見える現象。光源の色温度や下地の反射が原因になりやすいです。
中間クリア
透明クリアを薄く一層挟む操作。ムラの均しや段差の緩和に有効です。
薄膜多層
1回を薄く、回数で色を作る考え方。にじみや濁りの抑制に向きます。

注意:色相の差は写真だと伝わりにくいことがあります。露出とホワイトバランスを一定にして撮影し、比較は同条件で並べると判断が早くなります。

仕上げとトラブル対処:艶・補修・耐久の勘所

最終の艶と保護が決まると、見た目と触り心地が落ち着きます。ここではトップコートの選択と補修の当て方、輸送や展示での耐久まで扱います。キャンディは層の数が多く、傷が入ると“段差の谷”が広がりやすいので、補修の順番を簡潔に持っておくと復帰が速いです。

艶のコントロール

グロスは透明感を支え、セミグロスは立体の情報を見やすくします。マットは金属感が穏やかになり、面の落ち着きが増します。展示距離や照明で最終の艶を選ぶのが現実的です。

局所補修の流れ

小傷は#2000前後で“ならし”、薄いクリアで埋める→キャンディを点で補う→全体で薄いクリアを被せるの順が安定です。深いえぐれは盛り上げ→面だし→再工程で戻すのが近道になります。

持ち出しと耐久

輸送やイベント持参では、層の擦れが致命になります。柔らかい布で接面を取り、ケース内で“踊らない”ように当てを作ると安心です。展示では紫外線に注意し、長期は直射を避ける設計が目安です。

比較(トップコート)
メリット:グロス=透明感・深み/セミグロス=情報量・落ち着き/マット=渋み・面の統一。
デメリット:グロス=小傷が目立つ/セミグロス=金属感やや控えめ/マット=色の鮮度が落ちる。

チェックリスト(仕上げ前)
・塵の除去を層ごとに実施
・艶の決定を撮影光で確認
・可動部は当たりの擦れを試験
・展示距離を想定して色を再確認
・輸送時の当てを用意しておく

症状 原因の目安 対処 再発予防
ムラ 濃度・距離・速度の不一致 中間クリアで均し→再度薄膜 希釈固定と支点の一定化
にじみ 溶剤過多・乾燥不足 乾燥→砂吹き再開 層間の待ち時間を延長
ざらつき 近距離の濃度過多 距離を開け希釈を上げる 送る速度を一定に

まとめ

キャンディ塗装は、透明層が下地の反射を借りて色の深みを作ります。ゴールド下地はその反射を暖かく導き、赤や橙、緑や褐色にも厚みを与えます。粒径は面のスケールに合わせ、明度は狙いの鮮度や渋さに応じて調整するのが近道です。
工程は“素地→サフ→金→キャンディ→中間クリア→キャンディ→トップ”を細い層で積み、ムラは乾燥と薄いクリアで段階的に均すと安定します。艶はグロスで透明感、セミグロスで情報量、マットで渋みと、用途に合わせて落とすと印象が整います。
最終的には、粒径・圧力・距離・希釈を数字で固定し、テスト片で回数と色の関係を残すと再現が容易です。小さな差の積み重ねが仕上がりの説得力に変わりますから、無理のない範囲で手順を固定し、狙いの色を気持ちよく再現していきましょう!