- 光源と背景で彩度と明度が動きやすい点を前提にします
- 色番号は「近似の入口」であり最終は現物合わせで詰めます
- デカールの青とぶつけて差を±1段階に収めます
- 下地とクリアで見え方をコントロールします
カルソニックブルーの色番号を見極める|よくある誤解を正す
同じカルソニックブルーでも、屋外・屋内、カメラ設定、背景色で印象が変わります。ここを理解してから色番号を選ぶと、選定がぶれません。基準写真を一枚決め、同じ光条件で作例を撮るところから始めます。
光と背景が青に与える影響
直射日光では彩度が高く、半逆光ではやわらかく、蛍光灯下では緑が差すことがあります。背景が黄色系なら青が強く見え、灰色背景なら明度差が出ます。撮影用のグレー紙を用意すると、確認が早くなります。
下地と膜厚による色ズレ
白下地は発色が軽く、グレー下地は引き締まり、黒下地は深みが増えます。膜厚が薄いと下地の影響が強く、厚くなると彩度が落ちます。段階塗りで2〜4コートの差を目視し、最適点を記録します。
年代差と素材差
実車は年代やボディ素材で反射が変わります。90年代の鋼板ボディと、近年のCFRPやラッピングではテカり方が違い、同じ色でも写真の表情が変わります。模型ではクリアの艶とオレンジピールの有無がその差になります。
条件別の見え方と対処
| 条件 | 見え方 | よく出るズレ | 対処 | 確認 |
|---|---|---|---|---|
| 屋外直射 | 鮮やかで軽い | 薄く見える | 下地をグレーに寄せる | 日陰で一枚撮る |
| 屋内LED | やや緑味 | くすむ | 青+僅かな紫を足す | 白熱球でも確認 |
| 夜間照明 | 暗部が締まる | 黒っぽい | 白を1割足して補正 | 露出-0.3で比較 |
スタート時のチェックリスト
- 基準写真を一枚決めて印刷または画面固定
- 下地色を白・グレーで各1枚サンプル作成
- 候補色を薄塗り・標準・厚塗りで試験塗り
- デカールの青と並べてΔを確認
- 最適条件を書き残す
注意:試験片は本番と同じクリアで仕上げてから判断します。艶で明度が1段階変わります。
市販塗料の「近似」色番号と使い分け
色番号は入口です。ここでは模型で「カルソニックに寄せやすい」と評されやすい代表番号を、明度とトーンの観点で整理します。指定色が異なるキットもあるため、最終は現物合わせで微調整します。
ラッカー系の候補と印象
| メーカー | 色名/番号 | 印象 | 相性 |
|---|---|---|---|
| タミヤ | TS-15 ブルー | 明るめで軽快 | 90年代写真の晴天下 |
| タミヤ | TS-44 ブリリアントブルー | やや深い青 | 屋内・曇天基準 |
| Mr.カラー | C5 ブルー | 基礎青で調整幅大 | 混色のベース |
| Mr.カラー | C65 ブライトブルー | 鮮やか寄り | 白下地に合う |
| フィニッシャーズ | カルソニックブルー | 専用名で扱いやすい | 単色仕上げの時短 |
アクリル/水性とスプレーの選び分け
水性は乾燥後の艶が穏やかで、デカール前の段階確認に向きます。スプレーは面が揃いやすい半面、膜厚管理が難しいため、一度に吹かず5〜7分の間隔で薄く重ねるのが安全です。
近似色の選び方と組み合わせ
- 軽い青が欲しい→TS-15基準+グレー下地
- 深みが欲しい→TS-44基準+白1割混色
- 写真が緑寄り→C5に紫を数滴加えて補正
ミニ統計メモ
- 下地を白→グレーに変えると明度体感が約半段落ちる傾向
- 艶ありクリアは同じ青でも彩度が上がったように見える
- デカールの青は製造ロット差が出やすく現物照合が必須
Q&AミニFAQ
- Q. 正式な色番号はある? A. 固定の一本ではなく、時期や媒体で揺れます
- Q. スケールで色は変える? A. 小スケールほどやや明るめが映えます
- Q. つや消し前提? A. 実車は艶あり基調。つや加減で印象が大きく変わります
調色の叩き台と下地・クリアで整える
混色は「方向だけ決める」と失敗が減ります。カルソニックの印象は、青の芯を保ちつつ僅かに紫へ寄せるか白で明度を上げるかの二択から始めると迷いません。下地とクリアの組み合わせで仕上がりが一段階動くため、試験片で先に確認します。
手順ステップ(小瓶での調色)
- 青(C5やピュアブルー系)7:白2:紫1の比で10ml作る
- 白下地とグレー下地の各試験片へ2コートずつ吹く
- 艶ありクリアを薄く1層、24時間乾燥後に再評価
- 明るければ青を、重ければ白を1割追加し再テスト
- 決定レシピを本番用に20〜30mlへスケールアップ
よくある失敗と回避策
暗すぎて沈む:白を5〜10%追加。もしくは艶ありクリア→研ぎ出し→セミグロスで光の回りを増やします。
緑に転ぶ:青へ紫を数滴。LED下で判定せず自然光で再確認します。
ベンチマーク早見
- 膜厚:下地透けなしで2.5〜3.5コートが目安
- 艶:鏡面狙いなら硬化後に2000→コンパウンド
- 隠ぺい:白下地で2コート、グレーで3コートが基準
- 乾燥:指触30分・研磨48時間を目安に無理をしない
注意:クリアは色味を一段階強く見せます。色決めは必ずクリア後に評価します。
年代・マシン違いのニュアンスを追い込む
同じスポンサー色でも、年代やイベントでトーンが変わります。晴天下のスプリントと夜間の耐久、屋内展示では見え方が異なり、写真経由で得た印象にも偏りが出ます。模型では光と背景で再現します。
90年代スプリントの軽快さ
晴天下の写真では青が軽く見えます。TS-15やC65基準に白を5%足し、グレー下地で軽さを抑えると落ち着きます。黄色や白のスポンサーロゴと隣接する面は、反射で明るく見えるため一段暗い添面を意識して撮ります。
2000年代以降の深み
屋内や曇天ベースの資料では青が締まって見えます。TS-44や青+紫の少量混色で深みを作り、艶ありクリアで面のうねりを抑えます。ラッピング質感を出したい時はセミグロスでテカりを制限します。
ナイトレース/屋内展示
照明の演色性で緑や赤に振れることがあります。色で合わせるより、撮影時に色温度を調整して印象を寄せます。ショーケース写真に合わせる場合は白下地+薄膜で、光の回りを増やします。
参考の使い分け(有序リスト)
- 晴天写真基準→明るめ調色+グレー下地
- 曇天/屋内基準→深め調色+白少量混色
- ナイト基準→深め+セミグロスで反射制御
事例引用
昼の写真ではTS-15基準が軽快。夜間展示の実車に合わせるとTS-44+白5%がしっくり来た。
ミニ用語集
- 演色性:照明が色の見え方に与える影響の度合い
- 膜厚:塗膜の厚み。光沢と隠ぺいに関与
- 下地:色の土台。明度と発色を決める要素
- オレンジピール:表面の細かな凸凹
- ΔE:色差。人が差と感じる定量指標
デカール連携と仕上げで破綻を避ける
色は面で決まるため、デカールの青や白と接する境界で破綻しやすいです。艶の差で色が違って見えるため、クリア前後での判定を分けること、段差の残し方を統一することが鍵です。
デカール透けと段差の扱い
白ロゴの透けは地色が濃いほど出ます。ロゴ位置の下にごく薄い白を敷くか、艶ありクリアを一層入れて段差を抑えます。段差を完全に消すなら、クリア→研ぎ出し→クリアをもう一層で面を平らにします。
クリアの選択と順序
鏡面なら2層目を厚めに、セミグロスなら1層目薄く→研ぎ→2層目で整えます。デカールの溶剤に弱いクリアは避け、同系統で統一します。パーツごとに艶がズレると別色に見えるので、最後は同じ環境で一気に吹きます。
仕上げ前チェックリスト
- ロゴ透けの予兆はないか
- 段差は指先で触れて違和感がないか
- 艶はボディ全体で揃っているか
- 撮影用の背景と光を決めたか
- 色レシピと手順を写真つきで記録したか
注意:小面積のタッチアップは艶差で浮きます。色だけでなく艶も含めて合わせます。
カルソニックブルーの色番号を調べる手順と情報源
色番号は点ではなく線で捉えると迷いません。取説やメーカー推奨、作例の使用色、実車写真の条件を一本の線で結ぶと、自分の基準ができます。調べる順番を固定し、試験片で必ず検証します。
まず当該キットの指定を確認する
キットの取説に記載された指定色(例:TS-15、TS-44など)を出発点にします。同じブランドでも缶と瓶で発色が違います。過去ロットとの差もあるため、最新の塗料で試験片を作ります。
作例の色記録と逆引き
作例の記載は「番号+下地+クリア」が揃っていれば再現性が高いです。番号だけの記載は鵜呑みにせず、写真の光と背景も読み解きます。信頼できる作例は、同じ色で複数の光条件を示しています。
実車写真からの逆算
イベント名・年・天候・光源をメモし、近い条件の写真だけで比較します。色温度が違う写真を混ぜると判断が崩れます。最終は自分の撮影環境で試験片を並べ、狙いの青に寄っているかを確認します。
早見表(情報源の使い分け)
| 情報源 | 得られるもの | 弱点 | 使い方 |
|---|---|---|---|
| 取説/指定色 | 入口の色番号 | 年代差を吸収しにくい | 試験片で補正前提 |
| 作例記事 | 現実的な再現法 | 光条件が混在 | 条件が近いものだけ採用 |
| 実車写真 | 最終の印象値 | 露出・WBで揺れる | 条件を絞って比較 |
Q&AミニFAQ
- Q. 何番が正解? A. 一意の正解はなく、条件で最適解が変わります
- Q. どの下地が無難? A. 迷ったらグレーを起点に微調整します
- Q. 先にデカール? A. 色決め→デカール→クリアで艶を揃えます
まとめ
カルソニックブルーは固定の一本ではなく、条件を含めて設計する青です。色番号は近似の入口にすぎず、下地と膜厚、クリアの艶で最終の印象が決まります。まず見え方の変動要因を言語化し、TS-15やTS-44、C5/C65などの代表番号から試験片を作り、デカールと並べて差を±1段階に収めます。年代差や撮影条件に応じて微調整し、レシピと環境を記録すれば、次の個体での再現性が高まります。焦らず段階を踏んで、狙った青で仕上げましょう。

